前回、革と油分と水分の関係についての記事を書きました。
今回は、履きこみ、メンテンナンスしていく過程で変化する革の状態について。
私自身が15年間レッドウィングを履き続けて、実際に感じた考察です。
ぜひ最後までご覧ください。
こんな人に見てもらいたい
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革の油分と水分の関係(前回記事)のおさらい
まず、前回記事のおさらいです。
- 革にとって最良の状態とは、油分と水分を含有している状態である
- オイルメンテの目安は、基本、3ヵ月に1回。
- 基本は乳化性クリームで手入れし、3回に1回はミンクオイルか油性クリームを使用する。
メンテナンス方法による革の変化(実体験に基づく)
前回のおさらいで、
- 基本は乳化性クリームで手入れし、3回に1回はミンクオイルか油性クリームを使用する。
なぜ、乳化性クリーム3回。ミンクオイル・油性クリーム1回のペースでメンテナンスするのか、理由を説明します。
乳化性クリームと、ミンクオイル・油性クリームの役割と特性
まず、それぞれの靴クリームの役割について説明します。
乳化性クリーム
水分を多く含む。油分少なめ。ロウ少なめ(クリームによる) 1番使い勝手が良く、シミにもなりにくいため、財布などの革小物にも使用できる。 ミンクオイルや油性クリームに比べて、浸透力は劣る |
ミンクオイル
物によるが、基本、油分100%。水分・ロウなし。 浸透力バツグン。革が柔らかくなる。 水分がないため、水分の補給はできない。 ロウがはいっていないため、光らない。 マットな仕上がり |
油性クリーム
油分多め、水分少なめ、ロウ多め 浸透力は良い。水分が少ない分、油分の補給に優れる。 ロウ成分を多く含むものが多いため、光沢がでる。 鏡面磨き用のワックスに近い成分量。 水分の補給はできていないと考えたほうがいい |
ミンクオイルや油性クリームばかりでオイルメンテした場合
レッドウィングなどに代表されるオイルレザーは、ミンクオイルでのメンテナンスが基本とされています。
上の画像を油分と水分が含まれた最良の状態として、何も手入れせずに履きこんでいくと、
当然、油分と水分が抜けていきます。
そのため、オイルメンテを行う。
今回、ミンクオイルや油性クリームのみでメンテを、2年ほど行った場合の革の状態。
油分が増えた分、水分が減ります。
さらにもう2年。
革に含有されているのは油分のみ。
こうなると水分の含まれる余地がなくなり、履きシワを中心に、細かいひび割れが発生します。
ちゃんと手入れしている。
しかも、そこまでハードに履きこんでいない。でも、上の画像のように、履きシワに細かいひび割れが発生する。
こういった場合、メンテナンス方法を見直してみてもいいかもしれません。
このパターンが1番原因がわかりにくいです。
乳化性クリームばかりでオイルメンテした場合
次に乳化性クリームばかりでオイルメンテを行った場合。
こちらも、最初は油分と水分が含まれ、最良の状態からスタート。
表面の油分と水分が抜けると、乳化性クリームを使ってオイルメンテ。
最良の状態に戻る。
ただし、乳化性クリームばかりのメンテで、3年経過した場合。
革の表面に油分と水分は残り、革は潤っているように見えますが、
革の深層部の油分と水分は減っています。
こうなった場合、オイルメンテを定期的に行っているのに、革がカサカサの状態と同じくらいに硬くなってきます。
見た目は、ツヤもあり、潤いもある。でも実際履いてみると、硬い。
履き心地に影響。履きシワのひび割れにつながります。
レッドウィングの革は厚い
通常の革靴の厚みは1~2mmなのに対し、レッドウィングは基本2.2~2.4mmの厚みがある。
革靴なら、乳化性クリームのみのメンテナンスで問題ない。※革が厚くないため、乳化性クリームでも深層部まで浸透する
しかし、革の厚みがある場合、浸透力のあるクリームで革の深層部まで油分の補給をしてあげないと、
革全体の潤いを取り戻すことは難しい。
事実、私は約3年、所有する9870をコロニルのシュプリームデラックス(乳化性クリーム)でオイルメンテを行ってきた。
しかし、月日が経つにつれ、カチカチになってくる。
徐々に、硬くなるため、気づきにくい。
こんなものか、と履きこんでいるときに、気まぐれでグリオスガレージのレザーリジュビネーターでオイルメンテを行った。
革はしなやかになり、履き心地は改善された。
けっこう衝撃だった。
色々と考察した結果、上に書いたような結論に至った。
靴クリームには、それぞれの用途があり、目的別に使用すべきである。
まとめ
結論として、革を長持ちさせたい場合は、以下の2点に気を付けておくと良い。
- オイルメンテの目安は、3ヵ月に1回(1シーズンに1回)乳化性クリームで行う
- 3回に1回(1年に1回)は、浸透力の高い動物性オイルや油性クリームを使う
とはいえ、これはあくまで長持ちさせるための秘訣です。
この通りやる必要はありません。
ミンクオイルのマットな質感が好きな人もいるでしょうし、
油性クリームのツヤツヤな感じが好きな人もいるでしょう。
水分補給には、デリケートクリームという存在もあります。
今回の記事内容は、あくまで長持ちの秘訣です。
好きなように履いて、ノーメンテだったとしても、
レッドウィングの革は分厚く、頑丈です。
その辺のスニーカーや革靴よりも、ずっと長持ちします。
色々書いて、最後、こんなこと言うのもどうかと思いますが、
好きなように履きましょう。
私は好きなように履いた結果、無茶苦茶な手入れもしてきましたが、
23年前のレッドウィングも、いまだに現役で履き続けることができています。
結論、愛着をもって履きこんだレッドウィングが1番カッコいい。
コメント
[…] 細かい説明は、使用するクリームによる革の状態の変化をご覧ください […]