前回、レッドウィング875(犬刻印モデル)をサドルソープで丸洗いしてから約1週間が経ちました。
丸洗いして3回履きましたが、履き心地はよく、革の状態は丸洗い前に比べて、かなり改善されました。
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うれしい発見が1つ。ひび割れだと思っていたものが、 古いクリームやワックスが固まったものだということがわかりました。
こうなってくると、紙やすりを使って、ひび割れの修復をしたい。
ついでに、色抜けもすごかったので靴クリームを使って捕色しよう。
今回は、ひび割れの修復と 靴クリームで補色 の記事です。
こんな人に見てもらいたい。
・ 革のひび割れで悩んでいる。
・紙やすりを使ったひび割れ修復に興味があるが、試すには躊躇してしまう。
・靴クリームでの補色をどうしようか悩んでいる。
・色抜けた古くなったブーツのメンテナンスに興味がある。
ひび割れの現状
まず、ひび割れの現在の状況について、画像で説明します。
ピンクと青で囲んだ部分がヒビ割れの箇所です。
青色の部分がひどい状態で、浅いひび割れと深いひび割れが混在。
かなり履きこんで酷使したこと、無茶なメンテナンスをしていたことが原因です。
ピンクの箇所は、靴ひもをしっかり結ばずに履いたり、サイズが大きすぎるものを履いていると、ひび割れが発生しやすいです。
私は1時期、靴ひもをしっかり結ばずに履いていたので、それが原因です。(居酒屋での着脱がめんどうくさいんですよね)
ひび割れの修復の流れ
まず、ひび割れ修復の流れを簡単な図で表します。
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図に書いている通り、深いひび割れの修復はリスクが大きいです。プロに相談しましょう。
ひび割れ修復のメリット・デメリット
ひび割れを修復することのメリットとデメリットをお伝えします。
メリット
・ひび割れが目立たなくなる
・汚れがたまりにくくなる
デメリット
・やすりで削るため、銀面がはがれてしまう。
・銀面はがれてしまうと、雰囲気が変わる。
・革を削り取るため、やりすぎると革が薄くなり、ブーツの寿命を縮める。
銀面とは
銀面とは簡単にいってしまえば鞣した(なめした)革の表皮にあたる部分のことです。 その表面は動物の肌のキメの細やかさ、毛穴の大きさ、形状などによりさまざまな表情(銀面模様)を映し出します。
銀面は革の表皮です。
紙やすりで削らなくても、ぶつけたり擦ったりすることで、はがれてしまいます。
銀面がはがれた箇所に靴クリームをぬると、はがれていない場所に比べて、黒く変色します(茶系のブーツの場合)。
ちなみに私の875のモックトウ部分は、ほぼ全て銀面がはがれている。
ワークブーツの場合、銀面がはがれていることも、経年変化の1つという考え方をします。
あまり神経質に考える必要はないかもしれません。
ひび割れを修復していきます
修復に用意するもの
用意するもの | 用 途 | |
紙やすり ♯100 | 荒く全体を削る | ひび割れ専用 |
紙やすり ♯600 | 削った表面を整える | |
紙やすり ♯1200 | 削った表面を、細かく整える | |
馬毛ブラシ | 削ったゴミやほこりをはらう | 通常のお手入れ道具 |
Mモウブレイ ステインリムーバー | 汚れ落とし | |
ウェス2枚 | 汚れ落とし。余分なクリームをふき取る | |
靴クリーム(色つき) | 補色。栄養補給。 | |
豚毛ブラシ | クリームを浸透させる | |
山羊毛ブラシ(もしくは、ストッキング) | 磨き専用 |
紙やすりについては、粗目(100番前後)・細目(500番前後)・超細目(1000番以上)の3種類を購入しておくと良いでしょう。
ちなみに紙やすり以外は、普段の靴磨き道具になります。
私が今回、ひび割れの修復のために購入したものは、紙やすりのみになります。
リンク
一応リンクを貼っておきますが、ホームセンターで3種類買っても200円少々で購入できたので、ホームセンターで購入するほうがおススメです。
実践
それでは実践です。
青色で囲んだ部分を修復していきます。
深いヒビもあるので、すべての修復は難しいと思いますが、
全体的なひび割れの見た目を軽減することを目標にします。
紙やすりで削る
紙やすりを使用する順番は、荒いものから順番に、細かいものを使用していきます。
・粗目(100番前後)で、ひび割れが目立たなくなるまで削る。
・細目・超細目(500前後・1000番以上)で表面を整えていく。
まず、100番台から使用します。
100番台でヒビが目立たなくなるまで削らなければならないので、思い切っていきましょう。
ただし、銀面ごと削り取るため、ひび割れ以外の箇所は削らないように注意しましょう。
(私の875の場合は、すでに銀面がはがれ、ヒビも無数に入っていることから、全体的にやすりで削っています)
靴の内側に手を突っ込んで、内側からひび割れ部分を押して、シワを伸ばしてやると、削りやすいです。
次に、ザラザラになっている表面をならすため、 ♯600で削る。
ある程度ならすことができると、今度は1200番で、さらに表面を整える。
ブラッシング
馬毛ブラシで、紙やすりで削った削りカスをはらっていきます。
(レッドウィング純正馬毛ブラシの記事があるので、よければご覧ください)
リンク
全体をさっとはらってしまえばOKです。
リムーバーで汚れ落とし
Mモウブレイのステインリムーバーをウェスにとり、ひび割れに入り込んでとれなかった汚れを落とします。
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クリームで補色していく
紙やすりで削った部分と、サドルソープで丸洗いした時の色抜け部分を捕色していきます。
使用するのは、サフィールノワール クレム1925を使用(バーガンディとエルメスレッド)
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※ちゃんと捕色する場合は、アドカラーを購入して、筆などできれいにぬってやるのが良いそうです。
しかし、アドカラーを使用した出来上がりをネットで検索してみると、私が作業した場合、どことなく不自然な仕上がりになりそうなのでやめました。
普通に靴クリームで補色するほうが、今まで履いてきた風合いも損なわれないかな、と。
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使用する色について
現状の色・雰囲気を変えたくない場合 : ブーツよりも薄い色を選ぶ(無色・薄茶)
現状から雰囲気を変えたい場合 : ブーツよりも濃い色を選ぶ(紫・こげ茶・緑・紺・黒)
※ヴィンテージ風にしたい場合は、数段濃い色を使用してやると良いです。
また、緑や紺などを使用しても、全体が緑や紺になるわけではありません。光の加減でうっすらと緑や紺が見え隠れする程度なので、劇的に変化するわけではありません。
では、捕色していきます。
今回はブログ用に、片足ずつ、補色の色を変えています。
ちなみに、オロイジナルレザーを捕食する場合、
バーガンディ 濃くなる
エルメスレッド あまり濃さは変わらない。
やり方は、靴磨きと同じ要領です。私の場合は、指で塗っていきます。
クリームを塗った後は、豚毛ブラシでブラッシング
ウェスで拭き取ります。
何度かふいていると、ウェスに色移りしなくなります。それまでやりましょう。
山羊毛ブラシでブラッシング。
仕上げ磨きです。
完成
ひび割れについて
ひび割れは、深いひび割れがあったこと、また私がビビッて削り切れなかったこともあり、完全には取り除けませんでした。
しかし、以前と比べると見た目は改善されたように思います。
革を削るということで、革の厚みが急激に薄くならないかと心配していましたが、触ったり、履いた感覚では特に変わりなしでした。良かった。
補色について
捕色については、銀面がはがれている場所のほうが、クリームの色の影響を受けやすい。
少し濃い色で捕食した場合
色抜けしていない箇所については、少し濃くなる。
色抜けした箇所については、濃くなり、黒っぽくなる。
ひび割れ修復のため、削った個所については、靴クリームの色の影響を受けやすい。
特に、今回削ったモックトウ部分のバーガンディをぬったほうは、光加減によっては紫っぽく見えます。
まとめ
・紙やすり(サンドペーパー)は、粗目・細目・超細目の3種類を用意する
・深いひび割れは、自分でしない。靴の修理屋に相談することをおススメする。
・革を削るが、厚みに変化なし(個人的見解だが、耐久力が弱まるほどの影響はない)
・補色は、アドカラーではなく、靴クリームを色つきのクリームを使ったほうが元の風合いが残る(個人的見解・自己満足)
・ひび割れの修復は、銀面を削ってしまうため、銀面がまだはがれていない場合は、無理に行わないほうが良い。
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